ものづくり革新の取り組み

MANUFACTURING

林精器製造では、職人による手加工技術の継承に力を入れているほか、ロボット技術の活用や工場の無人稼働化などにも取り組んでおり、昔ながらの伝統技術と最先端技術の双方を融合させたものづくりを行っています。

林精器の特徴的な取り組みや技術

研磨技能の伝承

当社の得意とする高級腕時計ケースの研磨は、熟練の技能と高い感性が求められます。この研磨技能を絶やさず次の世代に継承するため、当社では新人育成に特化した部署を設置し技能者の育成を図っています。高度技能者が専属トレーナーとなって研磨の指導をし、個人ごとの計画に沿ったトレーニングを数年単位で実施しています

  • 研磨の指導の様子

  • OJTによる技能習得

伝統的な研磨加工技術

当社の製造しているウオッチケースには、ザラツ研磨という高度技能者のみができる伝統的な研磨加工が施されています。ザラツ研磨は、部品の斜面1面1面を磨き上げてくっきりとした稜線や歪みのない鏡面を表現する加工で、高級品に求められる品質を実現するものです。そのためには高度なセンスと経験・知識が必要となります。これらを身につけ一人前の職人として仕事ができるようになるには、10年以上もの長い期間がかかります。

  • 研磨の様子

  • ザラツ研磨加工のケース

職人による石留め技術

地金を専用の鏨(たがね)で変形させて爪を起こし、その爪で宝石を固定し取り付ける技法を石留めと呼びます。1cmに満たない幅の部品に小さな宝石を一つずつ並べて固定していくなど非常に細かい動きが要求される作業で、経験や技能だけでなく根気や集中力も必要となります。当社では宝飾時計などといった高級品の石留めも行っており、熟練の技能を持つ職人が作業に当たっています。

  • 石留め作業

  • 石留め後の部品

ロボットによる生産自動化

当社では職人による手加工の他、ロボット装置を導入することで、ワークの給排出などといった一部の工程を自働化する取り組みも進めています。「人とロボットの協働作業」をテーマとし、機械化と人材育成の両方に力を入れながら、ロボットによる最先端技術と人の伝統的な技能を上手く融合させたものづくりを目指し取り組んでいます。単なる機械への置き換えではなく、手加工でしか表現できない仕上がりを尊重し、温かみのある製品を提供しています。
また、これらの自働化ロボット装置は全て社内で構想・製作しています。現場や設備担当など、社内の各職場が力を合わせ、課題解決のために試行錯誤を繰り返しながら自働化装置の開発を進めています。

  • 協働ロボットによる給材

  • 稼働中の研磨ロボット

加工設備のIoT化

当社では工程の自動化だけでなく、機械設備のIoT化にも積極的に取り組んでいます。切削機械の稼働率の集計や稼働状況の見える化を行うなど、製造現場の状態をデータとして収集・活用できる体制の整備を進めています。将来的にはこれらのデータを用いて、生産の最適化や自働化・自律化を実現することを目標としています。

  • 表示灯の付いた加工設備

  • モニターによる稼働状況の見える化