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「めっき」って何だろう? ~歴史編① めっきの起源~

2022-06-06

めっきの歴史について

 

「めっき」とは

「めっき」というものは、端的に表現すると「ある物質の表面を薄い膜で覆う技術」になります。
あまり目立つ存在ではありませんが、何気なく使っている日用品や家具、宝飾品など、めっきが施されているものは私たちの身の回りにたくさんあります。

例えば洗面所の蛇口などは、サビ防止のためにニッケルクロムめっきが施されています。
また、スマートフォンや家電などの電子機器に組み込まれている基板には、電気を通しやすくするための金めっきが使われています。

水道の蛇口 基板

 

他にも包丁やアクセサリー、ライターといった製品の中には、耐食性などの機能面だけでなく、カラーリングや質感の表現など装飾を目的としためっきが使われているものもあります。

イオンプレーティング処理をした包丁  イオンプレーティング処理をした指輪

 

このように、私たちの日常生活のあらゆるシーンにおいて欠かせない「めっき」ですが、一体いつ頃から存在していた技術なのでしょうか?

 

 一番古いめっき技術 -溶融めっき-

諸説あるようですが、めっきの歴史は意外にも非常に古く、紀元前まで遡ります。
メソポタミア北部(現在のイラク周辺にあたる位置)では、紀元前1500年頃には、すでに腐食防止の目的で錫めっきが行われていたという記録があります。

当時のめっきは、現在の「溶融めっき」と呼ばれる手法で、めっきする金属を高温に熱して溶かし、その溶けた金属をめっきをつけたい物に塗る、というやり方でした。
めっきと言われてよくイメージするのがこの手法ではないかと思います。

 

 日本のめっきの起源  -アマルガム法-

一方、日本でのめっきの歴史はというと、仏教伝来と同時に中国から伝わったという説が有力で、6世紀頃(古墳時代)から始まったと言われています。

日本に伝わっためっきの手法で有名なのが「アマルガム法」と呼ばれる手法です。
「アマルガム」とは水銀と他の金属の合金の事をいいます。
「アマルガム法」は、めっきをつけたい物にその合金液を塗り、火であぶることで水銀を蒸発させて、金属だけを表面に付着させるという手法です。有名なところで言えば、奈良の東大寺の大仏にこのアマルガム法を用いた金めっきが使われていました。

古くからある「アマルガム法」ですが、これは「めっき」という言葉の語源にもなっています。

 

 めっきの語源

アマルガム法を用いて金めっきを行う場合、水銀と金の合金液を使います。
当初は塗金(ときん)と呼ばれていましたが、この合金液は金を含んでいるにも関わらず金色ではないので
滅金(めっきん:金を滅する液)と呼ばれるようになりました。
その後、塗金(ときん)→ 滅金(めっきん)→ 鍍金(めっき)と呼び方が変化し、
最終的にはひらがなの「めっき」という表記になりました。(鍍金の「鍍」が常用漢字ではないため)

上述の通り「めっき」は日本語由来の言葉で、外来語ではありません。
英語ではPLATING(プレーティング)と呼ばれています。
したがってカタカナで「メッキ」と書くよりもひらがなで書く方が正しいはずなのですが、
カタカナでの表記も一般的に定着しており、各種文献等においてもひらがな・カタカナどちらでも表記されています。

 

「めっき」って何だろう? ~歴史編①~ おわり
次回はめっきの発展の歴史について紹介していきます。

 

次の記事 ⇒ 「めっき」って何だろう? ~歴史編② 電気めっきの出現~