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前回の記事:「めっき」って何だろう? ~種類と仕組み編④ PVD(物理蒸着)~
CVD(Chemical Vapor Deposition)とは、化学反応を利用してめっき被膜を作る乾式めっき技術です。
装置内に原料となる数種類のガスを充填し、外部からエネルギーを与えます。
するとガス同士が化学反応を起こし、めっき被膜が形成されるのです。
前回の記事で、PVD(物理蒸着)は固体の原料を装置内で蒸発・気化させると説明しました。
PVD(物理蒸着)とCVD(化学蒸着)とのわかりやすい違いは、化学反応の有無や、材料が固体か気体かという点でしょう。
CVDには様々な特長があります。
CVDには複数の種類があり、主に化学反応を起こすためのエネルギーに何を利用するかで分類されています。
そのため、メリット・デメリットもその種類ごとに異なります。
今回は熱CVD、プラズマCVD、光CVDの三種類を紹介しましょう。
熱を利用して化学反応を起こすCVD処理であり、熱によって分解するガスを原料として使用します。
作業時には数100℃~数1,000℃という高温になり、処理条件に制約の多い技術でもあります。
金型や工具類などのコーティングに使われます。
原料ガスをプラズマ状態にする方法です。
プラズマとは物質を構成する原子が陽イオンと電子に分離した状態のことで、この時の原子は反応性が高く(化学反応を起こしやすく)なっています。
緻密でなめらかなめっき被膜を形成できるため、電子部品や半導体部品の製造などによく使われます。
光によって化学反応を発生させる方法です。
レーザーや水銀ランプなどを使い、原料ガスに特殊な光を照射することで分子を分解(光分解)し、製品の表面で再結合させることでめっき被膜を形成します。
低温での処理が可能でプラズマも発生しないため、製品へのダメージが少ないことが特徴です。
半導体や太陽電池の製造に使用されています。
CVDの種類は今回紹介したもの以外にもたくさんあるため、めっきを付けたい製品やめっき被膜に求める性質などに応じて、最適な方法を選択することが可能です。
次回は、乾式めっき技術の一つであるDLC(Diamond Like Carbon)処理について説明します。
「めっき」って何だろう? ~種類と仕組み編⑤ CVD(化学蒸着)~ おわり