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前回の記事: 「めっき」って何だろう? ~歴史編③ 近代日本のめっきの発展~
めっきとは、表面処理、すなわち物の表面を加工する技術の一つです。
しかし一口にめっきといっても様々な種類に分かれており、それぞれ処理の仕方や原理が異なります。
今回から始まる「めっきの種類と仕組み編」では、幅広いめっき技術を簡単に説明していきます。
現在、特に多く用いられているめっき技術として「湿式めっき」と「乾式めっき」があります。
どちらも化学的な反応を用いた処理方法であり、それぞれ次のような特徴を持っています。
湿式めっきとは、金属が溶けている液体を使って行うめっきです。
湿式めっきには大きく二種類あり、処理の仕方によって「電気めっき(電解めっき)」と「無電解めっき」に分けられます。
名前からも想像できる通り、処理の際に電気を使うかどうかが大きな違いとなっており、電気を使うから電気めっき(電解めっき)、電気を使わないから無電解めっき、というわけです。
ちなみに、無電解めっきは化学反応によるめっきなので「化学めっき」とも呼ばれています。
湿式めっき処理品(プラスチック部品)
電気めっきに関する記事はこちら:「めっき」って何だろう?~種類と仕組み編② 電気めっきの特徴と仕組み~
乾式めっきは、めっきとして付着させたい物質を含む気体の中や、真空に近い状態(減圧状態)で行うめっき処理です。
蒸着めっきや真空めっきとも呼ばれており、「PVD(物理蒸着法)」と「CVD(化学蒸着法)」の二つに大きく分類することができます。
乾式めっき処理品(金属部品)
また、乾式めっきにはDLCコーティングという技術が存在します。
DLCとはDiamond Like Carbonの略で、硬度・耐摩耗性などに優れた炭素のめっき膜を作る技術です。
処理の方法はPVD法とCVD法の両方があります。
DLC処理品
乾式めっき・湿式めっきのおおまかな分類について紹介しましたが、これらは実際には表面処理という大きな技術分野の中の一部でしかありません。
表面処理にはめっき以外の方法もたくさんあり、大まかに次のような種類に分かれています。
表面処理の種類
表面処理はその他にも様々な種類がありますが、当社ではめっきと陽極酸化の二種類を扱っています。
めっきには、先ほど紹介した湿式・乾式のほか、溶融めっきという技術も存在しています。
また、湿式めっき・乾式めっきは、使用する設備や薬品などによってさらに細かく分類されます。
亜鉛など融点の低い金属を溶かし、その中にめっきしたいものを浸けて膜をつける方法です。
「てんぷらめっき」や「どぶ付けめっき」などとも呼ばれています。
被膜の密着性や耐食性が高く、大きなものや重量物などでも処理がしやすいという特徴があります。
電気めっきと無電解めっきの2種類があり、無電解めっきは還元剤の使用の有無によって「置換めっき」と「化学還元めっき」の2つに分けられます。
湿式めっき処理ライン
先ほども紹介した通り、乾式めっきにはPVD・CVD・DLCの3種類があります。
PVDはさらに、成膜原理の違いなどによって「真空蒸着」、「イオンプレーティング」、「スパッタリング」の3つに分けられます。
CVDは、処理を行う際にガス状の材料を反応させるためのエネルギーの種類(熱、プラズマ、光など)によって分類されます。
今回は表面処理の分類やめっきの種類に関する概要を簡単に説明しました。
次回からは、それぞれのめっきの特徴や処理の仕組みについて一つずつ紹介していきます。
「めっき」って何だろう? ~種類と仕組み編① めっきの種類と分類~ おわり
次回は、最もスタンダードなめっき技術である電気めっきの仕組みについて説明します。