TOPICS
前回の記事:「めっき」って何だろう? ~種類と仕組み編① めっきの種類と分類~
電気めっきは湿式めっきの一種で、その名の通り電気の力で金属膜を形成する技術です。
めっきの中では最もスタンダードな手法になります。
電気めっきにて使用される素材は、銅・亜鉛・ニッケル・クロム・金など、様々なものがあります。
当社ではこれらの素材を使って、金・銀・灰・黒といった様々な色調を表現することもできます。
電気めっきの色のバリエーション
電気めっきは色々な素材を用いて耐食性・加飾性の高い被膜を形成することができるため、
日用品などの様々なものに用いられています。
例えば当社で扱ったことのあるものでは、腕時計のケースや内装部品、
自動車用部品(グリルやモジュール部品 他)などがあります。
当社で扱っているものの他にも、水栓金具や家具、文房具など、日常生活における様々なものに電気めっきが利用されています。
幅広い場面で活用することができる電気めっきですが、次のようなメリット・デメリットがあります。
電気めっき処理品
先ほども触れたとおり、電気めっきは電気の力で金属の膜をつくる技術なのですが、めっき膜というのはどのような原理で作られるのでしょうか?
それには、めっき液内でのイオンや電子の動きが深く関わっています。
さて、電気めっきの仕組みを説明する前に、質問です。
めっきとは何のために行われるのでしょう?
電気めっき処理の様子
めっきをする主な目的は、強度を上げる・装飾性を上げる・耐食性を上げる など様々です。
湿式めっきはめっき液(めっきの素材となる金属の成分を溶かした液)を用いて処理を行いますが、目的の数だけめっき液には種類があります。
弊社で使用しているだけでも十数種類のめっき液が存在しています。
これらは種類によって原理も少しずつ異なるため、すべてを説明することはとても難しいです。
そこで今回は、比較的原理がシンプルなニッケルめっき液を例に挙げて説明しましょう。
ニッケルめっき処理における金属イオンの動き
上の図は、ニッケル電気めっきを行う際の処理槽内を表しています。
処理に使用するめっき液には、めっき被膜にしたい素材の金属イオン(この場合はニッケル)が溶けており、+極にはめっきの素材となる金属(ニッケル)、-極にはめっきをつけたい物(製品など)がつながっています。
この状態で電気が流れると、めっき液中の金属イオンが-極のほうへ移動し、製品の表面で電子を受け取ります。
電子を受け取ったイオンは金属に戻り、めっき被膜となって製品全体を覆います。
電気めっきでは同時に、+極につながっている金属が電子を失い、金属イオンとなって液中に溶けだします。
ニッケルめっきの場合、そのイオンがまた-極側で電子を受け取って金属に戻り、めっきの膜になります。
使用する金属によって違いはありますが、これが基本的な電気めっきの仕組みです。
電気めっきは金属など電気を通す物質にしか行えない処理ですが、現在では技術の発展により、
ABS樹脂など電気を通さないプラスチック製の物質にもめっきをつけることが可能になっています。
無電解めっきという技術と合わせることでプラスチックへの電解めっきが行えるようになるのですが、説明が長くなってしまうため、この仕組みについてはまた別の回で紹介したいと思います。
「めっき」って何だろう? ~種類と仕組み編② 電気めっきの特徴と仕組み~ 終わり
今回は電気めっきについて紹介しました。次回は無電解めっきについて説明します。